マット


シュラフのページでもふれましたが、睡眠はキャンプツーリングの疲れを癒す貴重な時間です。
その安眠を約束する道具としてシュラフの他にマットもまた無視できない存在です。

旅人の中にはシュラフさえあればどこでも寝れるという強者もいますが、普通マットなしでは寝心地が悪くてなかなか眠れません。
夏場でも地面からの冷気は馬鹿にできないし、冬場ならなおさら冷気の遮断についても気を遣わなくてはならないでしょう。
マットを使用しないと、テント下の小石一つでも体重を乗せると結構痛いですし、ダウンシュラフの場合、地面からの湿気で性能が落ちるなんてことも考えられます。

そこで今回は安眠を約束してくれる素晴らしいマット達をいくつか御紹介します。

左からアルティアックのスキンマット、カスケードデザインのサーマレスト、カスケードデザインのZレスト。


カスケードデザイン
サーマレスト(ライトフォーム ウルトラライト)

キャンプ用マットの大御所カスケードデザインのサーマレストです。
俗に言うエアマットですが、セルフインフレータブルといってマットの角にあるバルブを開くだけでマットの中にあるウレタンが復元し自動的に空気を吸い込み膨らみます。
また、収納時のサイズもかなり小さく普通の銀マットの約半分で、ツーリングバックの中にしまうことができます。
内部のウレタンの恩恵で地面からの冷気を遮るだけでなく、人の熱も蓄えポカポカしてきます。
雪上キャンプでも問題ないでしょう。

これがバルブです。
テントの設営が終わった時点でこのバルブを回して開けておけば自動的に膨らむので、設置はほとんど手間いらず。
寝るときに好みの堅さに息を吹き込んでバルブを閉めればフカフカの寝心地です。

サーマレスト表面の生地はザラザラしており、シュラフの滑り止めの役目も果たしているのですが、手触りは良くも悪くもないといった感じです。
シュラフの外なので手触りはあまり関係はないんですが、個人的には次に御紹介するスキンマットの方が好みです。

素晴らしい性能のサーマレストですが弱点もあります。

まず一つ目はその値段。
本国では$75(1ドル110円で換算すると8000円程度)で売られていますが、日本では実売価格13500円〜15000円もします。
為替の関係もありますが下手すると倍近い値段になってしまいます。
寝心地はもちろん素晴らしいのですが、マット1枚に15000円はちと高いですよね。。。

二つ目は収納時の煩わしさです。
バルブを開けた後、縦に二つ折りしてから巻き上げていくのですが、気合いを入れて巻かないと空気の抜けがあまくなりスタッフバックに入りません。
撤収はただでさえ忙しい(シュラフやクッカー、テント等々)のにさらにマットの収納の手間がかかるというのはちょっと面倒だったりします。


アルティアック
スキンマット

こちらもセルフインフレータブルのマットです。
広げたときの長さはサーマレストより約10cm短く170cm程ですが私にはピッタリです。
厚さは1cmぐらいにしかなりませんが、こちらも断熱性・クッション性ともに満足のいくレベルです。
値段もセールの時になんと3500円で購入できてラッキーでした。

スキンマットというだけあって肌触りはいい感じです。
シュラフも滑りにくく私的にはかなり好みです。
ただ、熱に弱そうなので直射日光にはあまり長時間当てない方がよいかもしれません。


カスケードデザインのサーマレストとアルティアックのスキンマットのバルブ比較。

両方ともそう簡単には壊れることはなさそうな造りで、普段のメンテナンスは特にありません。
万が一バルブが壊れてもサーマレストはバルブキットが1000円で売られています。
自宅で保管する際はシュラフ同様スタッフサックから出してバルブを開け膨らました状態にしておくと、内部のウレタンフォームのためにはいいでしょう。
ただし、広げておくとちょっとばかりじゃまになるんですよね・・・(笑)


カスケードデザイン
Zレスト

上記2つのセルフインフレータブルマットとは違い、クローズドセルフォーム(空気を入れたりせずそのまま使用する)のマットです。

表面はご覧のように凸凹しており、ほどよい堅さのためクッション性も申し分ありません。
最低気温マイナス5℃で使用したときも冷気は全く感じず、断熱性も問題ありませんでした。

Zレストの最大の利点は、使用時には敷くだけ、収納時にはパタパタ畳むだけという手軽さにあります。
使いやすさの面では最も優れたマットだと思いますが、やはり問題なのはその収納時の大きさです。
さすがにバックの中に入れて・・・というのは無理なので、私の場合専らカブツーリングの時に使用しています。



3つのマットの大きさを比較してみました。

カスケードデザイン製のものは長さが約180cmあり、かなりゆったりしています。
幅はどれも似たり寄ったりといったところでしょうか。

収納時の大きさに関してはやはりZレストは大きいですね。
エアマットより倍の大きさになってしまうのは、その利便性から考えてもやむを得ないところでしょうか。
長さや幅の違いがある分、サーマレストよりスキンマットの方が一回り以上小さいのも見逃せません。
他の荷物にするとTシャツ1枚分ぐらいの容量でしょうか。
私の場合これが結構馬鹿になりません・・・


モンベル
U.L.コンフォートシステムパッド(90cm)

バックパッキング用あるいはトップケースのみでのキャンプツーリング用に、さらなるコンパクト化を図るため購入した90センチほどの短いセルフインフレータブルマットです。
モンベルが後発で研究して作ったマットだけに性能も申し分ありません。
こんな短いマットで使えるの?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、後述するU.L.コンフォートシステムピローと組み合わせれば頭〜おしりまでカバーできるので比較的暖かい時期なら大丈夫です。
はみ出した足の部分はどうするか・・・ バックパッカーならザックを敷けばいいし、ライダーならジャケットやらパンツやらを敷けば問題ありません。

ご覧の通り、収納サイズ(容積)は上記フルサイズのサーマレストと比較しても半分以下です。
サーマレストプロライトSよりも若干細く軽量で、これがマットか?と疑いたくなるような収納サイズです。

スタッフサックから取り出したところです。
バックル付きのベルトが一周しており、閉め込むことによりコンプレッション効果もあります。
このベルトほかにも使い道があったのです。

このベルトの使い道はご覧の通り。
専用のピローが無い場合でも、着替え等を詰めたスタッフサックなんかを固定して動かないようにしてくれます。
また、四隅にある「トグル」は複数のコンフォートシステムパッドをつなげるときに使え、収納時に折りたたむときも役に立ちます。
モンベルやるなぁ〜

スタッフサックをさわっていると底の方になにやら入っている・・・
裏返してみてみると、なんと補修キットが入っているではありませんか!
パッチが2枚と接着剤、トグルのスペアです。
パッチにはあらかじめ接着剤が塗布されているため、緊急時にはそれだけでも補修できます。
何とも泣かせるほど気が利く製品ですね(笑)


モンベル
U.L.コンフォートシステムピロー

パッドとセットで是非おすすめしたいのが、このピローです。
こちらも大変コンパクトでパッド本体と一緒にスタッフサックに入れて収納できます。
セルフインフレータブルではないので息を吹き込まなくてはなりませんが、酸欠でクラクラするような大きさではありません(笑)
このピローにもパンク補修キットが付いているのは立派!
ただ、ちょっと高いのがネックですが・・・

パッドとの接続は2カ所のトグルで行うことによってズレを防ぎます。
90cmのパッドと結合すると全長約120cmとなり、寝るには十分な長さになります

よく見ると首があたる部分が少し高くなっており、寝心地についても考慮されているようです。
もちろん注入する空気の量を調節すれば高さを変えることができます


マットにはこのほか一般的にかなり普及している銀マットがあります。
銀マットの利点はやはり安いことにつきますね。
収納する際に多少巻き癖が着いてしまいますが、使いやすさという点でもよいと思います。
クッション性も断熱性も劣りますが、銀マットをバイクにくくりつけて走っていると、いかにもキャンプツーリングという感じがしていいですよね。



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